梅の花が咲くとき
一本の梅の木の中でも、
花が咲くタイミングは違う。
とある大学キャンパス内の梅の木である。
写真の真ん中やや左から中央下にかけて、
花が咲いている。
他の枝にはほとんど花が咲いていないのにである。
何が違いを生むのだろう。
そう思って写真を見ると、
花の列の延長線上に排気管のようなものが見える。
この排気管から漏れる空気がこの一列の
花を咲かせたのではないか。
温度か気流か、はたまた化学物質か、
どれが作用したのかは定かではない。
だが、梅の木の花は、すべて一斉に咲くのではなく、
それぞれのつぼみで環境の変化を感じていることは
明らかだろう。
このような個体内のばらつきは、
一部の花が間違った時期に咲いてしまっても、
他の花がよりよい時期に咲くことで、
子孫を残す可能性を残す。
梅の木やもしかすると他の木が、
なるべく多くの実をつけるために、
獲得した特技なのではなかろうか。
身近ないきものでも、気にしていると
ふとした瞬間に発見がある。
これだからいきものは面白い。
■一本の梅の木の花であっても、それぞれのタイミングで咲く■